◎画家・荻野不二男さんの思い出


その飄々とした飾らぬ優しいお人柄と、後進たちの面倒見の良さで、多くの市民に愛された荻野不二男さんが旅立たれました。新北海道美術協会会員・紋別美術協会監事・双葉創美会会長を歴任され、北海道紋別市の文化芸術に多大なる影響を与えられました。享年70歳。 

 荻野さんとは、私が中学生の頃、紋別市上渚滑町の画家・玉谷章先生が主催する「双葉図画の会」でお会いしたのが最初の出会いでした。浜頓別の湖のほとりで絵画教室の皆様とキャンプをしたのは、いい思い出です。 1991年、私が30歳の時に紋別市教育文化会館で個展を開催した際、十数年ぶりに荻野さんと再開。「最近こんな作品を作っているんだよ!」とユニークなコラージュ作品を数点見せていただきました。その時に荻野さんのセンスの良さを改めて感じたものです。このシリーズは、晩年まで制作されていました。 

 2018年7月9日(月)〜14日(土)東京紋別会40周年記念事業として紋別で作家活動をされている皆様を中心に、銀座のギャラリーるたんで「第1回オホーツクからの新風展」を開催。荻野さんは、初日のオープニングパーティーにわざわざ紋別から駆けつけてくれました。この秋、荻野さんのご尽力で紋別市民ギャラリーで、11月2日(金)〜4日(日)まで巡回展として「紋別市民美術展」に参加させていだだきました。 この紋別滞在中に荻野さんのアトリエを見学。100号の大作が20点以上あったでしょうか、一枚一枚熱心に作品の説明をしてくださいました。そのほとんどが独特な北国らしい、個性あるロマンテッィクな抽象的作品で、荻野さんの世界に知らず知らずに引き込まれていきました。紋別で作家活動をされていらっしゃる方々に、アトリエのスペースを開放されていらっしゃるとお聞きし、ここでも荻野さんの面倒見の良さを実感。 

 2020年7月2日(木)から7月8日(水)まで横浜の東急百貨店たまプラーザ店4階アートサロンにて「第二回オホーツクからの新風展」では、荻野さんの独特な感性が際立った、春を待つ北国の大地を描いた抽象的な作品群が注目されました。この秋、10月22日(木)〜28日(水)まで、福屋広島駅前店6階ギャラリークリエイトでは、「北海道の精鋭作家展」にも心よくご参加いただきました。展覧会では、紋別在住の作家の方々の作品をひとまとめにし、ご自宅を搬出入の拠点にまでして下さり、本当に感謝申し上げます。 

 荻野さんとは、今後も展覧会をご一緒させていただきたかったです。新作も楽しみにしていましたが、叶わぬ夢となり痛恨の極みです。これからは、天国で思う存分作品を制作して下さい。私達に多くの思い出を残してくださり、本当にありがとうございました。 心よりご冥福をお祈り申し上げます。

東京紋別会会長・画家/竹澤イチロー※

写真は、荻野不二男作「生きる」F50号油彩

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